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私たちが運営する民間図書館は民設民営の公共図書館です。
地域の皆さんに自宅で眠る本を寄贈していただき、商店街の空き店舗や空き家、商業施設や老人ホーム、マンションの共有部など、ちょっとしたスペースに本棚を置いて並べ、その管理は主に近隣から募ったボランティアにて行っています。
公立の図書館は、資料の収集・整理・保存・提供など図書館法に則った社会教育施設としての役割があります。他方、我々が取り組む民間図書館は、みんなで持ち寄り、みんなで協力し、みんなで作る手作りのコミュニティスペースです。
絵本で遊ぶ子どもたちから、小説を楽しむ年配の方まですべての世代の方が一つの空間で同じ時間を過ごすことができます。そこは、静かに本を読むスペースではなく、みんなが楽しく過ごす場所として運営をすることで、地域の交流空間となっています。
読書をするというのは個人の世界に浸るプライベートな行動です。我々が運営する民間図書館は誰でも無料で本を借り読むことができる、民設民営の公共図書館です。限られたパブリックなスペースはプライベートな使い方をするのではなく、開かれた空間だからこそできること、すなわち「交流」が主であり、読書は自宅でも公園でも喫茶店でも、自由に場所を選んでもらえたらと思います。
商業が発達し、マーケティングの進歩とともに世の中は細分化されてしまいました。特定の世代やバックグラウンド、趣味・嗜好を持った人だけを狙ったサービスや商品が売れ、世代を超えた接点が少なくなっているように感じます。
公共分野についても同様で、子どもだけ、女性だけ、高齢者だけを対象とした施設やサービスが拡充されています。
こうした社会で生まれ育つ子どもたちは、はたしてどのような大人に育つのでしょうか ?
幼稚園や保育園に子どもを預けるのが当たり前になり、希望すればだれもが大学まで進学できる現在、生まれてからの約 20 年間を子どもたちは同い年の同級生と大半の時間を過ごします。
親や教師など限られた大人としか交流する機会を持たず、近所のおじさんに怒られたり、家の前の路上でお兄さんお姉さんと遊んだりといった、地域社会での様々な人との交流の機会は減る一方です。
しかしながら、就職をして社会で働くようになると、様々な世代の人たちとのコミュニケーションができて当然とばかりに求められます。同世代と 20 年のあいだ同じ部屋で生活をしてきた子どもたちにとって、誰もが社会になじめるわけではありません。社会人第一歩で躓いた彼らは、体調を崩したり心を閉ざしてしまいます。
公園で遊ぶ子どもたちに声をかけようものなら 110 番されかねない現代において、地域社会で多世代が同じ時間を過ごせる場所が必要です。世代を選ばない「本」という架け橋で、ボランティアや利用者など、まちとひと、人と人とをつなぐ空間。
そんな社会を民間図書館は目指しています。
私たちが運営する民間図書館は、短期・中期・長期的に違った役割を持っています。